ほどほどに健やか

猫と暮らす何者でもない者。

面倒くさい。

15時間くらい寝た。おかげで久しぶりに理性の存在を感じるし、体調が悪いと気づけるくらいには体調が回復した。今まで直観に基づく速い思考で毎日を乗り越えていたことに気づく。そういえば私には理性に基づく遅い思考もあったなぁと思い出した。

私は元々夜型かつショートスリーパーで、睡眠2~4時間で行動することが多かった。それは大学時代からで、親もそうなので特に気にしていなかった。大学時代のサークルは特殊で24時間やっていたので、だいたい夜中の2時に行って朝6時に帰り、少しの睡眠をとって9時の1限もしくはバイトに行くというような生活だった。こんなに毎日が楽しくて仕方がないから、寝ている時間がもったいない、と本気で思っていた。大学時代ってそんなもんだよね。

ちなみにSixTONESジェシーも先日そんなことを言っていたので彼も要注意だ…。ただ彼もそうだが、私の親戚も自営業だのカメラマンだのモデルだの宝石商だの画家だの、個人活動が多いから、ショートスリーパー生活でも体調を崩せばまとまって休みをとることができるし、少ない睡眠で狂った判断を閃きと称すことができるんだろう。私がこの生活で上手く立ち行かないのは、会社勤め人だからだ。会社勤めをしている以上、自由奔放な躁鬱人で生きていくことはできないのかもしれない。会社人に求められるのは、礼儀礼節、常識を重んじ和を以て貴しとなす、郷に入っては郷に従え、その生き方を齢23あたりで選び今後も変えていくつもりはないのだから、私も覚悟を持って生活リズムを保ちにいく必要がある。体力も衰えてるし。

去年旅行に行った先で、おいしいパン屋に遭遇し、皆が手作りジャムを買っていたのが眩しかった。そして今年も9月に先輩がお土産にジャムを買ってきてくれ、眩しいというか困惑した。ジャム。それは朝ごはんのある生活を営む人間だけに存在するものである。お土産のジャムは未開封のまま飾ってある。恋愛でいい感じになっていた先輩からのお土産で、商品名が「恋の予感」なのがどこか示唆的でくすぐったい。でも開けられずにいる。私に生活がない、朝がない、朝ごはんがないから…。

「味噌汁を作ってくれ」より、「ジャムを塗ってくれ」のほうが効果的なんじゃないだろうか。味噌汁は夜にも作れる。でもジャムは朝にしか存在せず、私にとってはより束縛的で一体感があって覚悟感がいる。別に夜にジャムパンを食べてもいいんだろうが、朝をともに過ごさなくてもいいんだろうが、私は常識と風情に恋焦がれる性質である。

そんなことはどうだっていい。さっき、傷病手当金の申請書類を郵送した。久しぶりにまともなことをしたなという気がする。15時間寝たから少しだけ元気だ。コンビニで飲み物を選ぶのが楽しかった。昨日の夜は、起きたら何を食べようか考えるのが楽しかった。すごく久しぶりに、一人の時間が楽しいと思った。茨木のり子が言うように、本来、一人は賑やかだ。

「一人でいるとき淋しいやつが 二人寄ったら なお淋しい おおぜい寄ったなら だ だ だ だ だっと 堕落だな」

書類には初診日が2023年12月14日と書いてあった。不健康な1年だったんじゃない、堕落の1年半だったんだ。ジャムだが、ポークソテーのソースか煮込み料理に使ってしまおう。アウフヘーベンだ。

 

ベランダにアトリエを作った。アトリエはあばら家であるとよい。たまにシャボン玉を吹く。今度芸術仲間に会ったとき、睡眠時間どれくらいか聞く。
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